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小笠原エコツアー報告書

事業種別

第 5 条第 1 号第 5 項 「野生生物及び生態系に関連した旅行等余暇活動に関する研究及びその成果を提供する事業」

1 名称

森も海も不思議いっぱい!小笠原エコツアー 〜海洋島の生態系の神秘を知る〜

2 目的

恒例の小笠原エコツアー実証調査の一環として、「小笠原諸島は、種分化、適応放散、生態的開放など進化の実験場であり、プレート沈み込み由来の島弧火山でボニナイト (高マグネシウム安山岩) を産出するなど他に例を見ない地域である」 ことを強く意識し、今回は一般参加者を募集し、小笠原父島の森と海におけるガイドによるエコツアーの価値を定性的に評価する。(なお、小笠原諸島が世界遺産暫定リストに記載され、登録に向けての準備が進んでいることから、駒澤大学総合教育研究部の清水善和学部長に専門家の立場から取り組みについてお話を伺い、小笠原の生物相及び生態系の現状と今後について意見交換するとともに、小石川植物園における指定希少種8種、独自選定種4種の増殖回復事業について、邑田教授、平井主任からご説明の機会を事前に得ました。)

3 実施日

2007 ( 平成19) 年 7 月 12 日 (木) 〜17日 (火) (6日間)

4 実施者

企画) NPO 法人エコロジー・カフェ (エコツーリズム・ユニット)
実施) (株) ナショナルランド (エコカフェ法人正会員)
協力) 小笠原海洋センター、マルベリー、シータック

5 参加者

15名 (会員 3 名、一般 12 名、一般には同行取材チームを含む)

6 行程表

時刻 内容
12日(木) 9:00 東京港竹芝旅客ターミナル集合
10:00 東京竹芝発
13:30
(1h)
船内レクチャー 「エコツアーチェックポイント」 (講師:山崎俊巳)
14:30 (自由) → 悪天候のため船は揺れる
13日(金) 11:50 父島二見港着 (20分遅れ)
午後 (自由) → 悪天候のため船は揺れる
18:30〜 ネイチャーナイトツアー by マルベリー (ガイド:吉井信秋)
20:45 オガサワラオオコウモリのねぐらからの飛立を見るため 1h 繰上げ実施
  グリーンペペ、夜空 (天の川・星座) の観察 等
14日(土) 08:30
(7h30)
ハートロック・トレッキング by マルベリー (ガイド:吉井信秋)
東南端の高台ハートロック (千尋岩) を目指して森の中を散策
16:00 終了後、宿へ
19:30
(1h)
ウミガメナイトレクチャー by 小笠原海洋センター (講師:石間紀子)
・ 世界のウミガメ及びアオウミガメの生態と小笠原の現況を説明
20:30 終了後、宿へ (予定より 1h 早まる)
15日(日) 08:30
(4h)
ドルフィンスイム&ウォッチングと南島 by シータック (ガイド:高橋誠、智子)
日本エコツーリズム協会推奨 「グッドエコツアー」 に選ばれたツアー
野生のイルカの感動体験及び南島上陸は悪天候のため不可
12:30 悪天候のため 4h 繰上り終了、終了後、宿へ。午後、自由
16日(月) 09:00
(2h30)
アオウミガメ学習 by 小笠原海洋センター (講師:石間・田中)
アオウミガメの子ガメへの餌やり、卵の移殖、小ガメの身体計測
1 歳の小ガメの参加者各自による命名及び放流 (製氷海岸)
11:30 チェックアウト後、出港まで自由
13:00 乗船手続き
14:00 二見港発
17日(火) 15:00 解散式 (挨拶:山崎俊巳)
アンケート回収、放流記念カード進呈
16:00 東京竹芝着

食事

朝 3・昼 2・夜 0

交通機関

おがさわら丸 2 等船室

同行取材

フジテレビ 「とくダネ!」 (2007 年 8 月 24 日 TV 放映)、CS フジ放送

7 プログラムの概要

7-1 船内レクチャー (講師:エコカフェ運営評価委員長 山崎俊巳)

小笠原諸島の形成史として、今から 4800 万年前から数百万年かけ太平洋プレートのフィリピンプレートへの沈み込みに伴う海底 3000m における火山噴火を起源とする。聟島列島及び父島列島がこれに相当し、マントル上層部の熱いマグマが直接海水により冷やされ、高マグネシウムや単斜エンスタタイト (古銅輝石) と呼ばれる隕石に含まれる成分と同じ成分を含むボニナイトから形成されている。ボニナイトは世界的にここにしか存せず、学術的に大変貴重であると言われている。ちなみに、扇浦の砂浜の砂は 「うぐいす砂」 と呼ばれ、美しい 「うぐいす色」 をしている。その後、4400 万年前に海底で母島列島の原形が形成され、2000 万年前頃には東西からの圧力により海面上に上昇したとされている。その後、侵食と沈降を繰り返し、数百万年前頃からは海面上に陸地を点在させているものと想定される。

小笠原諸島に生息する動植物に固有種が多いのは、火山島として誕生してのち大陸と一度も陸続きになったことがなく、動植物が入島し、定住定着しつつ、適応放散、収斂進化など生物進化の過程を辿ったからであり、その痕跡を確認することが可能である。キク科のワダンノキは母島にしかないが、競争が少ない段階で入島したため本木化しているのではないかと思われる。タコノキは沖縄に自生する近縁のアダンが海岸のみなのに対して海岸から山域まで分布しており、これも競争と適応進化の結果であろう。

ひとつの祖先から種分化した例では、遺伝的差異は小さいにもかかわらず、形体差は大きく、生育場所が異なるなど棲み分けをしているものがある。例えば、山地で幹が白く小高木のシロトベラ、林縁林内で低木のオオミトベラ、乾性低木のコバノトベラが分かりやすいだろう。母島にしかない海岸林で低木のハハジマトベラもある。また、小笠原全域に分布する常緑高木のオオバシマムラサキ、乾性低木林内にわずかに自生するシマムラサキ、岩石風衝地にわずかに自生するウラジロコムラサキもそうである。そのほかハイノキ属 3 種 (ムニンクロキ、チチジマクロキ、ウチダシクロキ)、ノボタン属 3 種 (ムニンノボタン、ハハジマノボタン、イオウノボタン) などが上げられる。

これら先祖種の移入は数百万年前と推定され、DNA 鑑定によりトベラ属では 16 万年前に、ハイノキ属では 51 万年前に種内分化するなど適応放散が数十万年の期間で起きているとのことである (伊藤元己:元千葉大理学部)。小笠原諸島は他の島嶼と同じように雌雄異株のものが多い。これは送粉昆虫との関係があると言われているが詳しいことは分かっていない。また、ヒメフトモモのように 1 種であるとされているものにも、父島において湿生高木、乾性低木、矮低木と形質を変化させているものもあるなど、進化の過程を学ぶのに相応しい。

小笠原諸島の固有種については、現在、植物 447 種のうち 36% が固有種、うち樹木 138 種では 64% 、既に植物の 80 数種が絶滅の危機に、20 数種が数株しか自生していない状況にある。陸産貝類 (かたつむり) 95 種のうち 93% が固有種であり、島ごとに適応放散し種分化をしているが、プラナリアやニューギニアヤリガタウズムシなどの侵入により既に 30% が死滅したと言われている (千葉聡:東北大学)。昆虫、鳥類については、ここでは省略します。

小笠原諸島は世界遺産暫定リストに記載されたことから、向こう 3 年間を準備期間として、登録に向けて国有林を中心に外来種であるアカギ、クマネズミ、ノヤギ、グリーンアノールなどの駆除活動を行っているところである。今回のツアーでは、小笠原の山と海の美しい自然を堪能するだけではなく、何故小笠原の自然が素晴らしいのかその魅力に迫るとともに、その素晴らしい自然と個々人がどのように向き合っていくべきか、気付くきっかけとして欲しい。

山崎講師より船内レクチャー
山崎講師より船内レクチャー
みなさんまじめ (?) に聞いてる?
みなさんまじめ (?) に聞いてる?

評価コメント

船内レクチャーの実施については、当初のご案内予定に追加し、小笠原の自然に関する予備知識を共有し、父島での森と海のフィールド・プログラムの実施価値を高めることを目的としました。参加者アンケート結果からは、事前レクチャーが有効であると評価されました。

7-2 ネーチャーナイトツアー (ガイド:マルベリー 吉井信秋)

当初予定より1時間早め出発したため、日没から夕闇が迫る 30 分程、翼を広げると 80cm にもなるオガサワラオオコウモリがねぐらから餌場に向けて飛び立つ状況を観察することができた。数にして 20 匹程度はいただろうか。しかしながら、このねぐらになっている森の直ぐ手前まで、村による宅地造成がなされ、住宅土地として販売中とされていたことには、開発に関する環境調査結果を目にしていないものの 「こんなことで特別天然記念物であるオガサワラオオコウモリと共生して行こうとしているのだろうか?」 と愕然とせざるを得なかった。

夜空を舞うオガサワラオオコウモリ
夜空を舞う
オガサワラオオコウモリ
グリーンペペ暗い所で光る
グリーンペペ暗い所で光る
特別天然記念物オオヤドカリ
特別天然記念物オオヤドカリ

次に、グリーンぺぺを探しに長谷付近の沢沿いを訪ねた。グリーンぺぺは固有種ではないが島では希少な存在である。残念ながら、日照り続きのためか発見することはできなかった。そこで沢と道路を隔てた反対側の湿っぽい森中から、ガイドの吉井さんが長さ 1m 、幅 8cm 程の枯れた竹材を手に現れ、その上部から 20cm 付近に一筋ぽつんと直径 4mm 愛らしいぺぺを指し示してくれた。その弱い光は生を全うしようとしているかのようであった。竹全体が菌糸でぼんやりと白っぽく発光しているものの、撮影は不可能であった。さらに、別の沢筋から長さ 30cm 程の枯れ竹を拾い出し、しっかりと青白く発光する直径 5mm 一条のぺぺを見せてくれた。こちらは撮影に成功した。所要 30 分程度であった。

最後に、満点の星空と天にかかる天の川を観察しに、小港海岸を訪ねた。車から徒歩での道すがら、活発に蠢 (うごめ) く数多くの天然記念物であるオカヤドカリに出逢った。彼らは外来種であるアフリカマイマイの殻を宿としていた。しかしながら、島に滞在した 4 日間で、生きたアフリカマイマイに遭遇することは一度もなかった。さて、小港の海岸では、西に地平線が開き北側と南側、東側がこんもりと森になっているせいもあり、天頂付近に夏の大三角形 (はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイル)、天の黄道沿いに西から、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座の 4 星座を、また、北面には、北極星を中心に、こぐま座、北斗七星を従えるおおくま座などが観察できた。さらに、カシオペア座からケンタウルス座、はくちょう座、わし座、いて座、さそり座にかけ北から南かけ天空を無数の星がはっきりと天の川を見せてくれていた。流れ星に願いを込めることもできた。番外として、アオウミガメの産卵上陸に遭遇したが、ガイドの指示で私たちは撤退した。所要 1 時間弱であった。

評価コメント

ナイトツアーは 3 部構成。星空観察は素晴らしい一時であったが、首が痛く、寝そべれるような工夫や夜光虫との対比など小笠原ならではの工夫があるとよいと思われる。オガサワラオオコウモリの観察は、日中は行っていないとのことであるが、餌場ポイントでの観察があると、彼らの生活に迫ってより意義深いのではないか。グリーンぺぺは季節気候依存が強く見れなくとも止むを得ないと思われる。ぺぺの入島の不思議など背景的な解説があるとよいのではないか。

7-3 ハートロック・トレッキング (ガイド:マルベリー 吉井信秋)

小港海岸手前の駐車場から徒歩。護岸工事中の八瀬川沿いの舗装道を少し歩くと折れ、沢沿いに、太平洋戦争時代に整備しその後のメンテナンスが不十分な荒れた軍道を辿ることになる。各自、軍道入口で千尋岩方面入山と記した竹筒に観光客である印の珊瑚石を一つ放り込み、緩やかな上りをしばらく前進すると、「とこよの滝」 を左方岸壁に目視。「とこよの滝」 の名前は発見当時、滝周辺に柑橘類の 「たちばな」 に似た樹木があり、「たちばな」 は古来 「常世 (とこよ)」 とも言ったためだそうだ (吉井)。

入山するときは忘れずに!
入山するときは忘れずに!
とこよの滝
とこよの滝
島中に咲くムニンヒメツバキ
島中に咲くムニンヒメツバキ

振り返ると眼下右方には放置された農園が広がり、一角にガジュマルの大木が無数に枝を垂らし大きな塊をつくっていた。このようなガジュマルの巨大な塊は、森林の中の道程、何箇所か遭遇することになるが、そこはかつての軍用施設跡か、民家跡かだそうだ (吉井)。さらに登ると防虫効果があることから持ち込まれたゲットーが道脇に群生してたり、明るい道脇には外来種が多く認められた。樹林は比較的明るく固有種であるムニンヒメツバキがよく育っていた。ムニンヒメツバキは、夏椿とも呼ばれ、葉はお茶の葉に似ているそうだ (吉井)。

沢には水が流れているが濁りがありとてもきれいとは言えない。沢の反対側は切り立つ崖がしばらく続き、辺りにケモノ臭がするかと思うと、沢越しの断崖の上部急斜面に点々と数頭のノヤギを確認することができた。動きは極めて俊敏である。このノヤギのため父島では固有種のシマオオタニワタリは壊滅的であり、厳しい断崖のニッチに僅かに自生するに追い込まれているそうだ (吉井)。途中、偶然、外来種であるリューキューマツの根本に外来種であるウバタマムシ (タマムシ科) を発見した。ウバタマムシはマツを食う虫であるのでリュウキュウマツとともにこの島に移入されたのだろう。

また、沢筋を離れ、軍用車の残骸を確認しながら、しばらくして急登し、蛇行しながらさらに登ると、途中、シャリンバイ、テリハハマボウ、インカクシダ、アコウザンショウ、タコヅル、シマホルトノキなどが確認できた。また、ワラビの群生にも出会えた。小さな沢に架かった一本橋を渡り、やや樹林っぽいところを進むとインドゴムノキの大木に遭遇した。これはかってゴムを採取するために島に持ち込まれ、その後放置され現在に記憶を残しているそうだ (吉井)。さらに、沢を越え、樹林を進み、西海岸方面との分岐を千尋岩方面に進む。ただし標識はない。ところどころ、グァバの部分的な純林を目にする。鳥が種を運ぶのだろう。

さらに、樹林の尾根に近い筋を登り、レーダー車の残骸を目にしながら進み、衝立山 (298m) 西側の鞍部を越えていく。ここで樹林の中が乾燥しており、落ち葉も枯れて乾ききっている。そこで、葉の下を観察すると、小さなアリと普通の大きさのアリを確認したほか、葉を食する昆虫を発見することは皆無であった。そう言えば日中活動する昆虫はことごとく外来種であるグリーンアノールの餌食になっていると、また、固有種の陸産貝 (カタツムリ) も外来種であるプラナリアなどの食害が深刻であるとの解説を読んだことを思い出した。ここでは森に生き物の気配が感じられない。小鳥のさえずりも少ない。足元の土壌が深刻で、早急な対応が必要ではないかと思った。

鞍部から南に崖っぽいところを急下すると比較的平らなざら場を進んだ。途中、固有種のアサヒエビネが数株まとまっているのを発見した。アサヒエビネをはじめ12種については、現在、東京大学小石川植物園において増殖保護活動の取り組みが行われている (エコカフェ調査報告ページ参照)。小高い丘の先には青くうねる太平洋が広がり、下からは風が吹き上げていた。標高 250m のハートロック (千尋岩) である。酸化鉄で全体が茶色がかっており、ざら場で滑りやすい。柵もなく注意が必要である。ここで一行は、太平洋に遥か 50km 先に浮かぶ母島や 2km 先のカルスト地形の南島の姿の素晴らしさを堪能した。それにしても台風の風が強く、海もしけっている。皆で食べたお弁当はとりわけ美味しかった。断崖絶壁の千尋岩、海方面から見ると、大きな茶色のハート型をしているので 「ハートロック」 と呼ばれている。小一時間、みなの気持ちも打ち解け、その岩上で幸福に満ちるほかなかった。なお、この一帯はプラナリアの侵入はないそうである (吉井)。対応が必要であろう。

帰路は往路を辿りつつも、皆が健脚であったことから、途中、分岐で西海岸方面の道に入り、施設跡のガジュマルの森に立ち寄るなどし、ガイドの吉井さんから当時の生活の説明を受けながら、ワラビ群生の上部で往路に戻った。所要7時間半、行程は中級者向きといったところである。

外来種ウバタマムシ
外来種ウバタマムシ
ガジュマルの大木
ガジュマルの大木
固有種アサヒエビネ
固有種アサヒエビネ

ハートロック頂上から南島
ハートロック頂上から南島
ハートロックで記念に一枚
ハートロックで記念に一枚

評価コメント

1800 年代に人類が小笠原で暮らし始めて 200 年余り、小笠原の自然はどのような変化を遂げているのか一覧に十分説明できる上手いデータも資料もない。しかしながら、生活の必要から持ち込まれた外来種は放置され、一部は土地に順応し、勢力を伸ばし、島に固有の動植物の生存を危うくしているとも言え、実際にフィールド体感することで新たな感動や発見が期待され、今回はそのような機会の提供になったと思う。なお、美しい自然 (生態系) も固有の動植物も人との関わりで考えることが本物と言える。欲を言えば、トレッキングを通じて自然を体感しつつ、島の地史、生活史などを学び、深い感動につなげるような説明の工夫がもう少しあるとよいと思う。

7-4 ドルフィンスイム & ウォッチングと南島 (ガイド:シータック 高橋誠、智子)

台風による荒天のため、西からの風が強く波が荒れていたため、南島上陸は中止となった。クルーザー船は、二見港を出港し、西島を南側から東側にかけ船上から視察し、弟島の南側を経由し、兄島瀬戸に入り、海中公園にてシュノーケリングをした。海中は幾分濁りがあったものの島影で強風を免れていたため、熱帯魚や珊瑚礁を十分に楽しむことができた。遭遇できた熱帯魚は、ユウゼン、ナンヨウブダイ、ロクセンスズメダイ等である。なお、その後、父島の西側から巽湾までイルカの影を追い求めたものの発見には至らなかった。辛うじて、途中、アオウミガメに 2 度遭遇することはできたのが何よりだった。

天候は悪いほうに向かっていたので、11 時半頃に波の安定している宮之浜に渚から 50m 付近に船を停泊させ、シュノーケリンしながら上陸した。そこでお弁当を食べ解散となった。

評価コメント

前日ハートロックの頂上に立ち海を眺望し、本日海からハートロックを眺望しようとしたプランであったが、台風の荒天のためやむを得ない対応であった。

ドルフィンスイムと南島上陸を組み合わせた今回のツアーは、日本エコツーリズム協会推奨「グッドエコツアー」に選ばれたツアーでもあり、次回に期待したい。

7-5 ウミガメナイトレクチャー&ウミガメ学習 (小笠原海洋センター:石間、田中)

7-5-1 ウミガメナイトレクチャー

ナイトレクチャーでは、パワーポイントにより世界のウミガメの種類や小笠原諸島で産卵するアオウミガメの生態に関する説明があった。特に、小笠原諸島におけるアオウミガメの産卵艘数の推移について、明治期以降激減していたものが、返還後の保護活動により年度によるバラツキはあるものの回復傾向 (昨年:1500 艘) にあることの説明があった。また、海を回遊しながらプラスチックなどをエサと間違えて食べてしまい、胃や腸を詰まらせてしまい死亡する事例が多く解剖により観察されるそうだ。

アオウミガメは 3 月から 5 月にかけ小笠原の海に戻り、交尾をし、5 月から 8 月にかけて 1 頭のメスで 2 週間くらいの間隔で 4 回程度の上陸し、産卵をするそうです。一度に産む卵の数は 50 個から 130 個とバラツキがあるそうです。交尾は一回だけしかしないのに、メスの産卵が 2 ヶ月に及ぶのは、その間に順次受精のために精子を保存する機能を身体の中に有しているためだそうだ。

なお、小笠原父島・母島では、昔から貴重な淡白資源としてアオウミガメを食べていたことから、現在でもこの時期に 100 頭程度の漁をしているとのことでした。漁の方法は金属製の長い銛で、交尾中のメスを狙って、オスより身体が大きいので、甲羅のふちのに近い部分を射抜かないようにして、4、5 箇所を射止めるそうである。交尾中のオスはメスから離れないためその後に簡単に射止めることができるそうである。アオウミガメは海草をエサにしているため他のウミガメに比べ肉の匂いがきつくないため食料にされてきたのだそうだ。

また、石間さんが実演してくれたウミガメが後肢で産卵のために穴を掘る様子がとても分りやすかった。穴の深さは 60cm にもなり、入口よりも中が膨れ、水がめの形に似ているそうです。上陸をすると産卵場所を探し、まず身体全体が入るほどの浅い大きな穴を前肢と後肢を丈夫に使い砂を後ろに飛ばしながら掘ります。続いて、後肢で丁寧に竪穴を掘るそうです。その際に穴に砂が落ちないように後肢を前に蹴上げて砂を前方に押しやり、垂直に後肢を穴に入れくり貫くように砂を穴の外に掻き揚げ、その砂を前に押しやる動作を左右順番に繰り返すそうです。産卵後に穴を埋めるのは前肢と後肢を使い、何処に穴が掘られたか分らないようにするそうです。上陸してから産卵し、海に帰るまでに大体 3 時間程度かかるそうです。産卵の際に流す涙により海中生活中に飲み込んだ塩分を体外に出すとともに目の渇きを防止しているのです。

この日、海洋センターの生けすの親カメの上陸産卵はなかったため産卵を観察することはできなかった。所要1時間程度であった。

スライドでのレクチャー
スライドでのレクチャー
子ガメの成長過程
子ガメの成長過程

7-5-2 ウミガメ学習

最終日午前9時、松崎さんの運転する車で海洋センターまで行く。準備ができるまで 10 分程度、施設内を自由に視察し、メンバーでアカウミガメ、アオウミガメの違いを確認したりした。まずは、施設内のコンクリート製の畳一畳ほどの大きさの生けす 6 槽で飼育されている 1 歳の子ガメらにペレット (ヒラメ用のものを代用)、生魚肉、くず白菜の3種類を与える作業を行った。一つの生けすには 8 頭前後の子ガメが入れられており、休息休眠用のロープの間を縫って、皆、元気よくほおばっていた。本来、自然界では海草を主にエサとしているが、小さい頃は雑食もするそうだ。この間 15 分程度であった。

次に、今回放流する子ガメの身体の掃除である。二人一組となり、総勢5組でカメを押さえる人、甲羅、腹部、お尻を、台所用メッシュ布と歯ブラシで掃除する人に分かれ、身体を綺麗にしてやった。時々、子ガメがバタつき、その力が強いのには皆驚いていた。所要 10 分程度であった。

続いて、施設内の移植用の砂浜地で用意されていた卵の移植作業を体験した。二班に別れそれぞれ、113 個と 129 個の卵を、母ガメがするように 60cm ほどの深さのつぼ型の竪穴を掘り、上下の位置を変えず丁寧にひとつひとつ移植しました。途中、台風の影響で急に風雨が強くなったりしたが、皆必死に黙々と作業をしました。お疲れ様でした。所要 45 分程度であった。

最後に、放流する子ガメのうち 3 頭分の身体を測定し、識別タグをつける作業を体験しました。身体測定は、甲羅の縦長、幅長をノギスで直線距離と甲羅に沿った湾曲の実測距離、体重を測りました。縦 23cm、横 20cm、体重 1.7kg ほどに成長しています。タグ後肢 2 箇所、前肢 1 箇所の 3 種のタグをつけました。タグの内容は、放流地、時期、個体識別登録番号など記載されているものと思われます (確認しませんでした)。所要 25 分程度であった。

その後、エコカフェからプレゼントされた子ガメと各自が記念写真を撮り、二見港に面した近くの製氷海岸から放流をした。皆、元気よく一斉に海を目指しました。時折、身体が重く、お腹が砂浜につかえて上手に前に進めないものもいましたが、最後は愛らしく去っていきました。20 年後に元気で戻ってきて欲しいものです。所要 30 分程度であった。学習すべての所要時間は 2 時間半程度であった。

海を目指す子ガメ(1)
海を目指す子ガメ(1)
海を目指す子ガメ(2)
海を目指す子ガメ(2)
番外:カメの産卵シーン
番外:カメの産卵シーン

評価コメント

卵の移植作業は、産卵観察をしたうえで行うことが実際の流れを体感し、強く問題意識を整理でき望ましいのではないだろうか。ただし、産卵観察ができる保証はないことにも留意しなければならない。

事前のレクチャーのなかで体験学習の行程が示されると、参加者にとって予測が可能となり、親切であると思われる。また、他の施設訪問のお客様が体験学習をしているグループの中に割り込んできたりする場面があり、体験学習の参加者に対する配慮が必要である。

子ガメに各自が好きな名前を付け放流したので、参加者は、ウミガメ学習体験に大変に強い思い出を持っていただいたようである。

8 アンケート結果

省略

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