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森の教室

概要

行程: 2006 (平成 18) 年 12 月 9 日 (土) 〜 10 日 (日)
場所: 裏磐梯 (福島県)
目的: 企業環境研修プログラム開発のための実証として、自然から私たちの生活に役立つものをテーマ化できるか検証。
参加者: 東京 4 名、県内 2 名、地元 3 名
実施者: エコロジー・カフェ、(株) ベネフィットワン
協力: カントリーイン森のゴリラ

行程

1 日目スケジュール
13:15 集合 (森のゴリラ)
13:30 オリエンテーション
13:40 〜 14:00 講話 「企業の CSR 活動の意義と現況」
     講師: エコロジー・カフェ運営評価委員長 山崎俊巳
14:00 〜 17:30 フィールド研修 「五色沼の森林の成り立ちと再生そして変遷」
    講師: 地元指導員 袰岩 (ほろいわ) 徳三
     (岩手大学で森林学学士を取得・森林のプロ)
18:00 交流会
20:00 スライド上映会 「五色沼自然教室」
    講師: 現裏磐梯ビジターセンター元館長 富田國男
2 日目スケジュール
7:30 朝食
9:00 〜 11:00 座学 「時間を学ぶ〜磐梯山噴火と自然史〜」
     講師: 富田國男
11:20 昼食
12:00 〜 14:00 フィールド研修 「レンゲ沼・中瀬沼と森の生態から学ぶ」
     講師: 富田國男
14:15 〜 14:30 反省会後に解散 (森のゴリラ)、猪苗代駅へ

評価

企業環境研修プログラムの実証としては極めて有意義であった。建設的なコメントとしては次のとおりである。全体の時間設定をゆっくり取り、天候にもよるが途中の休息を確保したほうが年配参加者には有難いかもしれない。

「生活の知恵を学ぶ」 テーマでは簡単な教材が手元にあると後で忘れず問題意識を持ちやすいと考えられる。もしくは、観察ノートを用意し、参加者各人に記録をしてもらう方法もあるのではないか。

何れにしてもテーマ (課題) 設定を明確にし、参加者各人に自然環境を守ろう、守るためには何をすべきか、といったことに気づいてもらいたいこと、また、心のリフレッシュ (メンタルヘルスケア) といったことに活用してもらいたいこと、から全体のプログラムを構成することが望ましいと考えられる。さらに異なる季節におけるプログラムの実証も必要である。

プログラムが 2 日にわたる場合は、復習的要素の中に創造性を確認できる要素を取り入れることが大事ではないだろうか。アンケートの実施もしたらどうか。

第 1 日目フィールド研修 (天気: 小雪)

120 年の森の歴史を学ぶ

磐梯山の爆裂噴火により泥流が発生し、川が堰き止められ大小の湖沼が誕生。不毛の地に、政府の緑化計画により無償貸与よる成功者への払下げが実施され、白井徳次 (塩川出身) が 1895 年銅沼付近から下 140ha に 42 万本のアカマツを植栽。その後矢部長吉 (喜多方酒造業) が 1902 年、五色沼一帯 400ha の植栽許可を得たが息子の代で破産し、その後を遠藤現夢が中村孫六博士の協力を得て、1350ha にアカマツを植栽。その後 120 年の年月で植生の遷移が西方面から進行し、クロモジは青沼付近まで、ミズナラは弁天沼付近まで勢力を伸ばしている。森の遷移にしたがって、訪れる野鳥の種類にも変化が生じていることに留意したい。

袰岩 (ほろいわ) 指導員による説明
袰岩 (ほろいわ) 指導員による説明
磐梯山の爆列噴火
磐梯山の爆列噴火

冬の動物の足跡から学ぶ

冬の雪面は動物たちの足跡を探すのに最適である。毘沙門天沼から赤沼、るり沼付近までに頻繁に観察された。最初にキツネの登場で、足早に遊歩道を 200m ほど直進し、足跡の形跡から私たちとは逆方向に進んでいる様子が確認された。降る雪が足跡を覆い始めていたので、個体の大きさまで推測をすることは困難であったが、大人のホンドキツネであると思われた。

次に、リスの足跡。突然現れ幅 3m 程の遊歩道を横切り突然消える。これは木から木への移動のためと思われる。途中、大木の割れ目にオニグルミの実を隠してある場所を発見。リスの餌の隠し場所だろうか。

赤沼を越えた付近で、トウホクノウサギの足跡。リスもウサギも両足ギャロップで前足の先に後ろ足が着地することで進行方向を確認できる。この時期 (冬季) は、夏毛から真っ白な冬毛に保護色化し、外敵から身を守っている。ウサギの足跡は何度も確認され、多くは急いでいる様子は認められなかった。

さらに、タヌキの足跡。タヌキの足跡は、左右が一直線上ではなく、右に左に酔っ払いのような足跡である。雪面も広く直ぐに分る。

テンらしきものの足跡も確認したが、降雪により掻き消えつつあった。

どれも単独行動のものであった。また、途中、尿痕跡があったが人間のものらしかった。動物の尿痕は匂いが強く、飛散している場合が多いとのことである。

トウホクノウサギの足跡
トウホクノウサギの足跡
キツネの足跡
キツネの足跡
タヌキの足跡
タヌキの足跡

詳細行程の紹介

以下、五色沼自然道に沿っての観察結果を紹介する。通常 2 時間程のコースを 3 時間半かけてのゆっくりした行程で、ゴール到着時には日が暮れて天空から舞う粉雪の姿は街灯に照らされ神秘的でもあった。

出発地点:毘沙門沼
出発地点:毘沙門沼
全長4キロメートルの行程を散策
全長 4 キロメートルの行程を散策

  1. 毘沙門天沼 (標高 780m、PH6.2) 及び周辺
  2. 生活の知恵を学ぶ

    • シナノキ (科:辺は実、作りは計るの意) は、木の皮を剥ぎ内皮からでる樹液を和紙作りの際の糊として利用。菩提樹ともいう。他地域では山梨県あつみ温泉に利用例がある。
    • ヤマウルシは、種から蝋を搾り蝋燭を作ることができる。かぶれ (カルボキシル基 1 基に起因) は杉の葉の煮汁で治癒が促進される。ナタウルシはカルボキシル基 2 基でかぶれもきつい。
    • ヤマナラシは、葉が丸く、付け根の枝が楕円で、少しの風でも音がする。音百選に選ばれている。楊と言い、房楊枝、歯ブラシとして利用。
    • アカグミは根瘤菌から窒素酸化物やアミノ酸、たんぱく質を吸収するため酸性土でも成長。アカマツも同様である。アカマツは、揮発性のテレピン油と不揮発性のロジン油を精製できる。
    • ミズキは枝が真っ直ぐに伸びており、小正月に団子をさして祝い事に利用。
    • カンボクは目薬として利用。別名として鳥くわずともいい、赤い実を食べるのはキレンジャク、ツグミだけで春先まで実を付けていることが多い。
    カンボクの赤い実
    カンボクの赤い実
    赤沼
    赤沼

    水鳥を学ぶ

    • カルガモは一年中定棲。マガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、オオバン、ヨシガモ (個体数少ない) を双眼鏡で観察。耳を澄ますと鳴き声で存在を確認することもできるという。
    • コゲラ、アカゲラの鳴き声を聞く。
  3. 赤沼 (PH3.9) 及び周辺
  4. 生活の知恵を学ぶ

    • イタヤカエデ (大木) は木質が堅く、スキー板、そり、ボーリングのピンに利用。
    • ミズメ (子木) はサロンパスの匂いし、鎮静作用。梓の俗名を持つ。梓のアズとは 「崩れたところ」、サとは 「辛い」 の意。
  5. コケ沼
  6. 両生類を学ぶ

    • クロサンショウウオ、モリアオガエルの 5 月頃には産卵の観察が可能。
    • 裏磐梯には、ツチガエル、ヤマアカガエル、カジカガエル、ヒキガエル、ガマガエルが生息。
  7. 深泥沼 (PH6.9) 及び周辺
    ここ数年コガラの巣作りの観察が可能。
  8. 弁天沼 (PH4.7) 及び周辺
  9. アシの進出から学ぶ

    • 草木等の腐敗物、泥の流入により浅くなったところにはアシが進出しアシ原を急速に形成しはじめている。やがて湿原に遷移していくものと考えられる。
    • るり沼出口では、コケが高層化し、高層湿原の形成が始まっているものと考えられる。

    生活の知恵を学ぶ

    • サルナシはサルが好きなナシの意で、キューイフルーツの仲間で実は小さいが美味しく、非常食となる。
    • 森の木の実で鳥や動物が好んで食べるものは、大抵は人が食べても美味しい。
  10. るり沼 (PH4.3)
  11. 水質から学ぶ

    • 乳白色であるケイ素 (Si) とアルミニウム (Al) の化合物であるアロフェン (珪酸アルミ) による青い光の反射効果により、光量の強さにより青色が変化。
    • 茶色は鉄 (Fe) 化合物、緑色は水中のコケ、黒色はクロム (Cr) 化合物に由来する。
  12. 青沼 (PH4.2)
  13. 柳沼 (標高 870m、PH4.7)

2 日目フィールド研修 (天気:小雪)

ハンノキの群生の中、レンゲ沼を散策し、中瀬沼までをゆっくりとトレッキングした。途中、コゲラとアカゲラの鳴き声を聞き、トウホクウサギの足跡を確認した。本コースは木道が整備されており、特に、レンゲ沼は車椅子でも散策が可能なバリアフリーとなっており、冬季は難しいが雪のない季節での車椅子によるフィールド活動が可能であることが確認できた。

中瀬沼を展望台から眺めた景色は、白い山肌にいく筋もの木々の茶色が粉雪散る中ぼんやりと溶け込み湖面の境界がくすみとても幻想的であった。また、葉を落としたハンノキ林の中でさえ風を落ち付かせ周囲より体感温度を確保してくれるのには驚いた。

中瀬沼
中瀬沼
ハンノキ林
ハンノキ林

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