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第 1 回エコの寺子屋 @ 元立誠小学校

概要

2006 年 9 月 9 日 (土) を皮切りに、NPO 法人エコロジー・カフェの活動方針 「自然との共生や生態系を守ることの大切さを理解したり、考えたりするため、シンポジウム、体験学習のイベントなどを開催する」 に基づき、『食文化』 をテーマとした 4 回の講義と京都大学フィールド科学教育研究センター所有の上賀茂試験地で育まれている多様な植物をテーマとする 1 回のフィールド学習を開催致しました。当講座を通して参加者の皆様には 「土の健康」 「作物の健康」 「人の健康」 などの健康な食育から、環境を保全する大切さについて学んで頂きました。

主催 NPO 法人エコロジー・カフェ / 京都大学フィールド科学教育研究センター
共催 まなびや 2006 実行委員会
特別協力 株式会社ジェイ・エス・ビー
協力 京都アートカウンシル
後援 京都府
協賛 関西電力株式会社・佐川急便株式会社・株式会社ジェイ・エス・ビー・大和ハウス工業株式会社・株式会社村田製作所・株式会社ローソン
(50音順)

エコの寺子屋開催のお知らせ (プレスリリース)

講義 (全 4 回) に関する内容

日時 第 1 回 2006 (平成 18 年) 9 月 9 日 (土) 14:00 - 16:30
第 2 回 2006 (平成 18 年) 9 月 30 日 (土) 14:00 - 16:30
第 3 回 2006 (平成 18 年) 10 月 14 日 (土) 14:00 - 16:30
第 4 回 2006 (平成 18 年) 10 月 28 日 (土) 14:00 - 16:30
会場
立誠小学校
立誠小学校
元 立誠小学校
(京都府京都市中京区蛸薬師河原町通東入備前島町 310-2)
(goo地図)
講師 京都大学フィールド科学教育研究センター
助教授 梅本 信也 氏
「ナレ寿司の地域文化誌、on situ 保全と食文化」

京都大学フィールド科学教育研究センター
講師 西村 和雄 氏
「土の健康、作物の健康、そして人の健康」 他

元 立誠小学校とは…

立誠小学校
立誠小学校
立誠小学校看板
立誠小学校看板


明治 2 (1869) 年に下京第 6 番組小学校として創立以来、124 年という日本でも最古の歴史をもつ小学校の 1 つです。立誠学区は、京都を代表する繁華街としての賑わいと、木屋町沿いの高瀬川や桜・柳の並木、花街・先斗界隈に見られる風情ある景観が相まった、まさに 「京都都心の核」 といえる地区で、立誠小学校はそのシンボル的存在でした。しかし京都市中心部の児童数が減り、小学校の統廃合が必要になったのをきっかけとして、1993 年 (平成 4 年)、閉鎖されました。
2005 年 (平成 17 年) より高倉小学校の第二グラウンドとして、また、祇園木屋町特別警察隊の拠点として現在は活用されています。地域では、自治会行事やイベント等の拠点としても積極的に活用されており、今後も当学区の交流の中心的な存在としての 役割が期待されています。

立誠小学校廊下
立誠小学校廊下
教室からの景色、その向こうが木屋町通、古めかしいにおいがします。
教室からの景色、その向こうが木屋町通、古めかしいにおいがします。

9 月 9 日 (土)

開講の挨拶

関西事務所 助野より開講の挨拶
私たちを育む豊かな生態系と、私たち一人ひとりがどのように向き合っていくべきか、どのように守っていくべきか、どのようにして共に生きていくべきか、どのように未来に豊かな生態系を伝えていくのか、一緒に考えて行きたいと挨拶。

第 1 回講義 (西村先生)

講義の内容

まず始めに、有機農業に関わる断片を掘り起こすために、ピークオイルや食の意味するものについて西村先生からお話がありました。続いて有機農業についての説明がありましたが、そもそも有機農業とは何なのでしょうか?この疑問に西村先生は 「土が健康であること。そして、土が健康である延長として、作物が健康に育っていることである」 と説明されました。つまり、有機農業には、健康な土を維持するための土壌管理や、農薬を使わずとも害虫をうまく回避できるように作物を育てることが大事なのです。このようにして育った作物はどちらかというと小ぶりで例えば葉の色も薄いものが多く、また、栄養価の高い作物を作ることが可能とのこと。また、健康な作物の姿形には、対称型など一定のルールがあり、また育てた人の性格によってもその姿形は変わってくる傾向があるそうです。講義後半はスライドを用いて、いくつかのルールから 「おいしい野菜の見分け方」 について説明があり、参加者も興味深く聞いていました。

質疑応答

おいしい野菜や果物の見分け方についてや、品種改良されている野菜について、また野菜の産地偽造の有無についてなどの質問があった。最後の質問については、今後は偽造できないような工夫。例えば、包装紙にチップをつけるなどの対策をとられるのでは?との回答があった。

講義の様子

9 月 9 日講義 1
9 月 9 日講義 1
9 月 9 日講義 2
9 月 9 日講義 2

9 月 30 日 (土)

第 2 回講義 (西村先生)

講義の内容

まず始めに、わが国に日本有機農業研究会が発足して 30 数年になりますが、慣行農業と比べて、いささか見劣りがするのは否めない。では、有機農業技術の発展を阻害してきた原因は何なのでしょうか?それには有機農業の技術の確立や生産農家と消費者を強固に結束して食糧をまかなっていくことを目的としている有機農業運動などが関係しているのではないか?と先生は説明された。

講義では、日本有機農業研究会の綱領として掲げている、「環境破壊を伴わず他力を維持培養しつつ」 という文言と、「健康的で味のよい食物を生産する方法を探究し」 の二つに的を絞って、方法論としての地力の維持・培養方法、施肥の体系、栽培技術、草対策、虫と病気対策と野菜・水稲・果樹との関係性を、団粒構造の意味、堆肥の分類とそれぞれの役割、蓄糞の意味、窒素の多少が土壌生物に与える影響などの土壌管理法の説明を交えながら説明した。

質疑応答

参加者からは主に自身が育てられている作物に関して、カメムシやかみきり虫の幼虫の退治方法や虫除けに効果がある草花など、害虫対策に質問が集中し、先生は一人一人に丁寧にその対策を説明された。

【講義の様子】

9 月 30 日講義
9 月 30 日講義

10 月 14 日 (土)

第 3 回講義 (梅本先生)

講義の内容

まず始めに、食文化は、地域・気候・植生帯にも関係することから、ケッペンの気候区分や日本の気候区分、中部日本の植生帯 (垂直方向・水平方向)、世界の植生帯 (水平方向)、温暖帯常緑広葉樹林・照葉樹林・東亜半月弧の関係などの説明があった。続いて、照葉樹林文化の主な特徴として、焼畑と雑穀儀礼としての餅、ナレ寿司、水にさらしアクを抜くなどのいくつかの特徴を挙げ、その中でも特にナレ寿司の歴史やタイ北部・中国云南省と日本のナレ寿司の違いや桶の中で何が起こっているのか、などについて説明した。また、最後には、ナレ寿司は四季のある東アジアの風土と伝統の産物であり、食文化の部分側面を兼ね備えているなどの学術的な観点からの説明で締めくくった。

質疑応答

現在日本ではナレ寿司は全国的に知られているのか?和歌山県では普段からナレ寿司を食べているのか?などの質問があった。この質問については、理由は不明だが、現在は恐らく近畿圏だけで、和歌山県も旬な時にしか食べず、今後どう継承していくかは、今後の課題であると付け加えた。

講義の様子

10 月 14 日講義 1
10 月 14 日講義 1
10 月 14 日講義 2
10 月 14 日講義 2

こちらは元 立誠小学校 3 階の和室。地元の方々によって改装され、畳も新しく敷きつめられました。

10 月 28 日 (土)

第 4 回講義 (梅本先生)

講義の内容

まず始めに、数枚の写真を見せながら、自然のあふれる美しい光景のように見える風景でも、実は人の手によって既に汚染された風景であることを説明した。たとえば海は養殖による汚染で海底に泥がたまり、山は人間の手が入って植え替えられていた木々が放置されるようになり、生態系が狂ったまま野放し状態になっており、私たちが気づいていないだけで、自然の崩壊が迫っていることを受講者にわかるように説明。私たちが自然と呼んでいるものが実は人によって既に荒らされた後の姿であることを受講者が理解した上で、地球の土地を自然域と里域に区別するという考えを提唱し、さらに里域の中でも、人が手を入れた自然のある里域と、自然とは離れた私たち現代人が住む都会域に分け、自然と共存して行くためには、自然域と都会域の境目にある、里域をどうしていくかが重要であり、自然と共存して行くためには、里山、里海の手入れや、詳細観察、詳細知識、新規開発などをして行くことが必要であると説明。全体的に様々な角度から、現在の自然の状況や、現代人の意識の停滞を照らした講義となった。

質疑応答

生成の現風景とはいつの時代のことか?植林ができたのはいつぐらいからか?などの質問が出た。これらの質問に対しては、「現風景」 とは目的により異なり、植林は江戸時代からできていたが、この時代は里山の価値を理解していて、広葉樹を植えてきた、しかし、その後はスギが植えられたら、外来木材を許可してからは、日本の山の値段が下がり、山自体を放っておくのが一番楽になり、山にとっては最も悪循環な状況になり、現在の森林崩壊の要因となっていることも付け加えて説明した。

【講義の様子】

10 月 28 日講義 1
10 月 28 日講義 1
10 月 28 日講義 2
10 月 28 日講義 2

フィールド学習 (全 1 回) に関する内容

日時 第 1 回 2006 (平成 18 年 11 月 12 日 (日) 11:00 - 15:00
会場 京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション上賀茂試験地
(京都市北区上賀茂本山2)
講師 京都大学フィールド科学教育研究センター
講師 中島 皇 氏
「試験地が保有する生きた樹木コレクションと環境保全」

上賀茂試験地とは…

1926 年に大阪営林署より、京都府愛宕郡上賀茂村字上賀茂 (現在の京都市北区上賀茂本山) の国有林の一部を買収し、京都帝国大学農学部附属演習林上賀茂試験地として設置されました。1949 年進駐軍による接収に伴い、農林水産省より所管換えを受けて現在地に移転しました。以後、1950 年の隣接地購入、1951 年、1958 年、2002 年の所管換えを経て、現在総面積は 47.0ha です。

2003 年 4 月、演習林、瀬戸臨海実験所、亜熱帯植物実験所、ならびに水産実験所が統合し、京都大学フィールド科学教育研究センターが発足したのに伴い、現在の名称に変更となりました。

現在地への移転当初の目標は、外国産樹種の導入による樹木見本園の造成でした。そのために外国の植物園や研究所などとの種子交換により、マツ属を始めとする多くの樹種が集められた。1955 年以降、タケ・ササ類に関する試験、マツ属の生育調査および交雑試験が行われたが、1970 年代以降は、マツ枯れ被害の増大に伴い、マツノザイセンチュウの研究や被害の抑制に関する研究、マツ属の生育に関する研究を中心に行いました。
現在は、樹木園および見本林園の再整備を進め、マツ属の成長量や気象の観測など基礎データを蓄積するとともに、二次林の成長量、植生変化についても調査しています。京都大学本部から北へ 5km と交通至便で、京都大学はもとより、他大学、他機関からも研究・実習フィールドとして広く活用されています。

11 月 12 日 (日)

フィールド学習 (中島先生)

講義の内容

森林と環境保全について 1 時間の講義の後、上賀茂試験地内のフィールドに出た。

講義では、例えば花粉症などの原因とされているスギなどの人工林が誕生した経緯や現在はその木材が昔ほど活用されなくなっている現状など、現在森林が抱えている問題点等の説明や、近年人間の生活環境の悪化から森林の様々な機能に多くの期待が寄せられる現状についての説明がありました。昨今では生産財としてのみならず、環境材・文化材としての価値も含んだ森林の総合的な評価と森林の 「賢明な利用法」 の確立が社会から要請されているとのこと。重要なポイントは樹齢 200 年の木を切れば、同じ木を作るのに、最低でも 200 年かかることを肝に銘じておくべきで、「土地 (大地) は子孫からの預かり物」 の考え方から、環境や自然についても、今を生きる我々は、預かり物を次の世代に粛々とお返ししなければならないのではないか。という話しで締めくくった。

質疑応答

講義中先生が説明した森林の機能や、樹齢の計測方法などについて質問があった。

<フィールド学習>

上賀茂試験地には世界各国の松が生息していることもあり、フィールド学習に先立ち、マツ属の分布と球果および種子の説明を受け、松の標本館を見学した。その後実際に散策したが、時折立ち止まって説明をしながら一通り見て回った。途中険しい道もあったが、頂上からは京都市内が見渡せる展望スペースがあり、参加者も疲れを忘れてその景色を楽しんでいた。フィールドコースの最後には、普段は一般に公開されていない試験地内で成長を続ける、ラクウショウの木根等の視察も行った。当日は雨が降ったりやんだりしていたが、怪我人がでることもなく、約1時間半の散策は無事終了した。最後にはどんぐりを試食したが、渋みはあるものの、思った以上においしいと好評だった。

講義・フィールド学習の様子

講義の様子
講義の様子
マツ属の分布と球果および種子の説明
マツ属の分布と球果および種子の説明

散策の様子
散策の様子
ラクウショウの気根
ラクウショウの気根

第 1 回エコの寺子屋 @ 元 立誠小学校を終えて

 エコロジー・カフェ関西事務所としての初めての講義でしたが、延べ 135 人の市民が参加し、熱心に講師の話に耳を傾けていたように思います。最終日のフィールド学習では、実際に自然林の中に入って散策するなど、環境保全について考えるきっかけ作りとエコロジー・カフェの環境への取り組みを理解してもらうことを目指しました。効果としては、参加者から見た目は美しく問題ない自然であっても汚染されているということを勉強し、健康な森(自然)を維持するのがいかに大切か理解することができたなど、感想を得ました。

今回の講座によって、私たちを育む豊かな生態系と私たち 1 人ひとりがどのように向き合っていくべきか、どのように守っていくべきか、どのように共に生きていくべきか、どのように未来に豊かな生態系を伝えていくのか、少しでも考えるチャンスを提供できればと思います。また、4 回の講義と 1 回のフィールド学習を通じて環境を保全することの大切さについて学び、考え、生活の中で実践していただければ幸いです。次年度はさらに趣向を凝らして、環境保全推進のための講座を企画していきたいと思います。

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