第 3 回シンポジウム概要
2007 (平成 19) 年 2 月 24 日 (土) に、NPO 法人エコロジー・カフェの第 3 回シンポジウムが東京大学小柴ホールにて開催された。第一部は、山形俊男氏 (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授、エコカフェ学術フェロー) から 「気候変動と私たちの暮らし」 と題して、私たちの経済活動に伴う CO2 排出などが地球に与える温暖化の影響について、大気海洋の熱相互作用を地球規模でシミュレーションを可能とした最新の研究成果について講演があった。続く第二部パネルディスカッションは、「身近な自然と暮らしの知恵」 と題して、政府、自治体、企業、NPO などの各立場から身近な自然から何を学び生活に活かしているかなどの報告があり、今後ものづくりやまちづくりなどの広い場面で身近な自然との 「循環」 「共生」 といった価値観が重要であるなどの示唆に富む議論が活発に交わされた。
プログラム
| 13:00 |
会場
平成 18 年度エコカフェ活動報告スライド上映 |
| 13:30 |
開会
オリエンテーション・総合司会 鎌田佳子
主催者挨拶 山科 誠 理事長 |
| 13:40 |
第一部 設立3周年記念講演
・テーマ「気候変動と私たちの暮らし〜最新の研究成果を踏まえて〜」
・スピーカー
山形 俊男 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授、エコカフェ学術フェロー ※2005年4月29日紫綬褒章受賞、インド洋ダイポール現象発見者
・ コメンテーター
宮崎信之 東京大学海洋研究所教授 |
| 14:55 |
休憩 (10分) |
| 15:05 |
第二部 パネルディスカッション
・テーマ 「身近な自然と暮らしの知恵〜里地里山里海に想う〜」
・コーディネーター
山崎 俊巳 ((株)クレディセゾン経営本部部長、エコカフェ運営評価委員長)
・パネラー
牧 文一郎 (特定非営利活動法人アサザ基金顧問)
内藤 勝久 (埼玉大学経済学部特任教授、百年の森づくりの会代表)
前浜 隆広 (アストラゼネカ コーポレートマネジメント統括部広報部コーポレートアフェアーズ担当部長)
出口 利春 (カントリーイン オーチャードハウス代表)
中山 泰 (京丹後市長)
下條 龍二 (農林水産省農村振興局企画部農村政策課都市農業・地域交流室長)
・コメンテーター
佐々木宜彦 ((財)発電設備技術検査協会理事長、エコカフェ運営評価委員) |
| 16:45 |
祝電披露・閉会宣言 |
| 16:45 |
アンケート記入・移動 |
| 17:00 |
懇親交流会開始 |
| 18:00 |
終了 |
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第一部 設立 3 周年記念講演
「気候変動と私たちの暮らし 〜最新の研究成果を踏まえて〜」
- スピーカー
山形 俊男 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授、エコカフェ学術フェロー
- コメンテーター
宮崎信之 東京大学海洋研究所教授、エコカフェ学術フェロー
山形
地球表面は、大陸が3割と海洋が7割を占める。表面は大気で覆われており、地球の自転の効果などの影響もあり両者の間では複雑な熱交換をしている。大気海洋結合大循環モデルとは、地球の海洋に多数の観測ブイを設置し、衛星を利用し、観測データを集め、スーパーコンピューターを用いて海洋変動や大規模な大気海洋相互作用現象の予測を行うものである。日米がしのぎあっている研究領域でもある。気候変動は私たちの暮らしに多大な影響を与える。異常低温、旱魃による農作物の不作、台風や豪雨による災害など私たちの暮らしを直撃する。今日は、地球シミュレーターによるシミュレーション結果を披露しつつ以下説明する。
現在、熱帯太平洋ではエルニーニョ現象が成長中である。今回のエルニーニョ現象の特徴は日付変更線付近と東太平洋ペルー沖の両方に高温異常のピークが見られ、しかも日付変更線付近の高温異常のピークからエルニーニョもどきが同時に発生していると考えられる。暖冬となっているが、北日本ではまだまだ注意が必要だ。シミュレーションによるとエルニーニョ現象は夏頃には終息し、次第にラニーニャ現象に向かうものと予想される。ラニーニャ現象では、エルニーニョ現象と逆で東太平洋ペルー沖から日付変更線付近にかけ低温異常となることである。これに伴って、フィリピン周辺の海面水温が平年よりも高まること、インド洋は全域的に高温気味であることから、小笠原高気圧が強勢となり日本列島は猛暑になると想定される。一方、冬の季節風が強めに推移し、オホーツク海を含む北洋の海水温が低下することから、初夏にはオホーツク海高気圧が強まることが予想される。この場合、ラニーニャ現象の開始に伴って小笠原高気圧が強化される可能性を考慮し、活発な梅雨前線活動による集中的な大雨が想定される。
インド洋では現在、ダイポールモード現象が終息しつつある。ダイポールモード現象とは、スマトラ、ジャワ沖に低温異常の海域があり、中央部から西インド洋熱帯域に高温異常が見られことである。これによるとインド洋熱帯域の東部では好天で乾燥となり、逆に中央部から東アフリカにかけては積雲活動が活発となる。実際、昨年(2006年)11月ケニアでは大雨により30万人が家を失うなど災害が起こってしまった。エルニーニョ現象とダイポールモード現象で、インド洋と西太平洋の低温異常のため下降気流により著しい乾燥傾向にあり、この傾向はエルニーニョ現象が終息する初夏まで続くことが想定される。以上のような大気を通じた海洋の熱交換の現象は南極域や大西洋など他にもあり、シミュレーションでは全てを考慮していることを付言する。 (このあとこの研究分野の進展の系譜も説明された。)
宮崎
地球温暖化による気候変動が問題視されるおりタイムリーにすばらしい研究成果を聞くことができた。シミュレーションに使われる外部変数として二酸化炭素の排出による効果などの影響についても分析結果を教えていただくと面白いと思う。
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第二部 パネルディスカッション
「身近な自然と暮らしの知恵 〜里地里山里海に想う〜」
- パネリスト
- 牧 文一郎 特定非営利活動法人アサザ基金顧問
- 内藤 勝久 埼玉大学経済学部特任教授、百年の森づくりの会代表
- 前浜 隆広 アストラゼネカ コーポレートマネジメント統括部広報部コーポレートアフェアーズ担当部長
- 出口 利春 カントリーイン オーチャードハウス代表
- 中山 泰 京丹後市長
- 下條 龍二 農林水産省農村振興局企画部農村政策課都市農業・地域交流室長
- コーディネーター
- 山崎 俊巳 (株)クレディセゾン経営本部部長、エコカフェ運営評価委員長
- コメンテーター
- 佐々木宜彦 (財)発電設備技術検査協会理事長、エコカフェ運営評価委員
山崎
今回は 「身近な自然と生活の知恵」 と題し、身近な自然の保全や利活用をされている NPO、企業、自治体、そして政府の方々にお集まりいただき、どのような目的で、どのような方法で、どんな活動をし、どんな発見をしているのかをお教えいただき、今後私たちは何をすべきかを考えるきっかけを提供させていただければ幸いである。
牧
アサザ基金は、霞ヶ浦流域を中心に、20 年の歳月を経て、国、公共団体、企業、市民団体、学校 (子供) 、市民、NPO などの主体者の協働を確立し、環境良化への取組みの具体化として、環境循環型ビジネスモデルの実現を目指している。現在、霞ヶ浦に生息している外来魚を駆除し、それを利用した魚粉事業のプロジェクトを展開し、これにより有機農業も目指している。
内藤
埼玉大学ワンダーフォーゲル部の創部 40 周年記念事業として、1995 年に、「100 年の森づくり」 と題し、荒川源流の環境保全に取組むことにした。埼玉県と大滝村の理解・支援を得て、和名倉山南東斜面に落葉樹を植林することになり、99 年に作業拠点を得た。現在、浦和高校同窓会など県内の高校の同窓会などに声を掛け、宝登山など活動を広げて行きたい。
前浜
アストラゼネカでは、昨年 (平成 18 年) 11 月 1 日、全社員約 3000 人が業務を休止し、CSR 活動の一環として、全国 40 ヶ所の高齢化・過疎化した中山間村で農作業、山仕事などを行った。目的は、人的支援、都市との交流、新たな社会貢献スタイルの提案、コーポレート・シチズンの具現化の 4 点。マスコミにも取上げられ、参加者全員が満足という嬉しい結果だった。
出口
清里高原は、八ヶ岳連峰の南麓 2000m の高原であって、四季折々に趣を変える自然やのどかな牧場、森の美術館、各種スポーツ、トレッキング、ノルディックウォーキング、登山など都会の人びとのオフタイムを存分に演出くれる。近年、訪問されるお客様のニーズも体験プログラムへの参加など多様化しており、エリア全体の連携が必要になっている。
中山
京丹後市は、ヒヌマイトトンボ (絶滅危惧種 I 類) の生息する風光明媚な久美浜湾を擁し、市民がボランティア清掃を行っている鳴き砂で有名な琴引砂がある。この地が発祥であるアベサンショウウオ (絶滅危惧種 I 類) も生息する里山があり、北近畿最大の内山ブナ原生林が広がっている。丹後ちりめんの伝統工芸も存在し、地域の宝物として地域の活性化を目指したい。
下條
政府は、グリーンツーリズム (都市住民が農山漁村地域で、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動) を推進している。農山漁村を教育力として子どもたちの農村体験や若者の農村滞在体験を振興し、週末の田舎暮らしのための滞在型市民農園や農家民宿の整備を進めている。今後は、都市と農山漁村の共生・対流という枠組み (図を参照) で取組みたい。
山崎
森、里、海は河川によりつながっており、森が荒れれば下流域は全てが荒れてしまう。流域で生活する私たちは水がなくては生きていけない。里地里山里海の身近な自然に生息する希少な動植物の生息環境を守ることは、私たちの生活環境を守ることにつながる。農山漁村の活性化と身近な自然の保全と相互に関連している。流域にある街づくりやものづくりとも関連する。したがって、政府、自治体、企業、NPO、個人が互いを理解し、連携できるような環境づくりが大事であると思う。本日ご参加の皆さんも実際の活動に参加されることを薦めます。本日はありがとうございました。
佐々木
水はあらゆる生命を支えている。豊かな森は多くのミネラルをはぐくみ田畑を潤す。現在は森や里山の恵みの意義を深く考える時期である。今回は、国、自治体、民間、NPO がそれぞれどのような考えで取組んでいるか理解することができた。気候変動に関する地球シミュレータの話も興味深かった。会場の皆さまも全体的なものの見方が重要だと思ったのではないだろうか。
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アンケート結果
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