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第 4 回シンポジウム活動報告書

概要

2008 年 2 月 23 日 (土)、東京大学小柴ホールにて NPO 法人エコロジー・カフェの第 4 回シンポジウムが開催された。第一部は、清水善和氏 (駒澤大学総合教育研究部部長、エコカフェ学術フェロー) から 「小笠原諸島の自然の魅力と共生のあり方〜ガラパゴスの教訓を越えて〜」 と題して、小笠原の人と自然の歴史について講演があった。

続く第二部は様々な活動が三段構成で発表・報告された。第一にエコカフェ法人会員である坂戸あずま幼稚園の園児による 「てんとう虫について」 の発表、同じくエコカフェ法人会員であるおもちゃ王国で行なわれている紙芝居 「たたちゃんのだいぼうけん」 の御礼の録画放送 (諸事情により途中で割愛)、第三に 「環 (わ)」 と題しエコカフェの各プロジェクトチームの代表者から活動が報告された。これにより、エコカフェやエコカフェに関わる会員の皆様がどのような活動をしているのか、来場の方々に理解を深めていただいた。

理事長挨拶
理事長挨拶
シンポジウム会場様子
シンポジウム会場様子
会場様子
会場様子

プログラム

13:30 開会 オリエンテーション・総合司会 鎌田佳子
主催者挨拶 山科 誠 理事長
13:40 第一部 特別講演 >> 詳細
・テーマ「小笠原諸島の自然の魅力と共生のあり方 〜ガラパゴスの教訓を越えて〜」
・スピーカー 清水善和(駒沢大学総合教育研究部部長、エコカフェ学術フェロー)
15:10 第二部 活動発表・報告
15:10 第一 活動発表 >> 詳細
・テーマ「てんとう虫からまなんだこと〜はじまりは、てんとうむし救助隊〜」
・ プレゼンテーター 坂戸あずま幼稚園園児11名
・ 山科理事長より全員に御礼として絵本「ルナとこぐまたち」をプレゼント
・湿生植物学習センターによる御礼の紙芝居「たたちゃんのだいぼうけん」上映
15:40 第二 活動報告 >> 詳細
・テーマ「環(わ)」
・プロモーター 佐々木 宣彦(エコカフェ運営評価委員:(財)発電設備技術検査協会)
・プレゼンテーター
松崎 哲哉 (エコツーリズム副リーダー:(株)ナショナルランド)
福崎 伸悟 (企業環境研修プログラム副リーダー:(株)クラブファーム)
真保 まゆみ(企業環境研修プログラム副リーダー:(株)ベネフィット・ワン)
塙 ともみ(ニューズレター編集委員長:常磐大学学生)
土岐 和多留(RDBデジタルアーカイブス副リーダー:東京大学大学院生)
金子 嘉宏 (湿生植物学習センター長:(株)おもちゃ王国)
仁藤 雅夫 (副理事長:(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ)
16:35 閉会宣言・アンケート記入 >> 詳細 (会員のみ)
16:40 懇親交流会開始

<第一部 特別講演>

「小笠原諸島の自然の魅力と共生のあり方〜ガラパゴスの教訓を越えて〜」
・ スピーカー 清水 善和 駒澤大学総合教育研究部部長、エコカフェ学術フェロー

清水先生講演
清水先生講演
清水先生講演
清水先生講演
清水先生講演
清水先生講演


清水

まず、ガラパゴスの現状についてお話しようと思う。ガラパゴスとは、1978 年に世界第一号として 『世界自然遺産』 に指定された島であるが、その後観光客は 12 倍近く増え、住民も 9 倍近く増加。突然の増加にインフラの整備が整わず、今ではゴミだらけに荒れてしまい、2007 年には 『世界危機遺産リスト』 に登録されてしまった。

そんなガラパゴスの現状を念頭に置きながら、東洋のガラパゴスと言われる小笠原の歴史についてみていきたいと思う。

島と言われるものには 2 種類ある。1 つは 『大洋島』 といい、これは誕生から一度も大陸と陸続きになったことがない島で、もう 1 つは 『大陸島』 といい、大陸の縁辺にあり過去に大陸と陸続きになった島の事を言う。小笠原諸島は大洋島に属しており、この大洋島が持つ 「生物の世界から見ても独特の性質が存在する」 という特徴を多分に備えている。

そんな小笠原の人と自然との関係は 5 つの時代に分けて考えることができる。

第 1 期は、1829 年までの無人島 (原生林) の時代。小笠原からは、石器が見つかっているので本当に太古の昔からずっと無人島だったかどうかは定かではないが、江戸時代からは無人島であると言われていた。

第 2 期は、1830 年からの農地開拓時代。ここから小笠原は有人島となる。最初に小笠原に入ってきたのは日本人ではなく、欧米人であった。その後、1861 年に第 2 回の日本探検隊による調査があり、1862 年から八丈島からの移住が始まり、1876 年に日本領として確定され、一度引き上げた八丈島からの移民が、再移住。

第 3 期は、戦後の空白時代。戦後の小笠原は米軍によって統治され、戦前の空き地にマツやヒメツバキが植えられ、植生が回復した。

第 4 期は、1968 年の返還後の再開発時代 (破壊・攪乱の時代)。沖縄に先立って返還された小笠原、この時代に様々な学術調査が行なわれ、島全体が国立公園化された。

第 5 期は、エコツアーの時代で空港建設が構想され、高速フェリーも計画。小笠原の自然が見直されつつ、島の産業のメインが観光へと移っていく。

これからの小笠原は、ガラパゴスを例に生物多様性と調和していける持続可能で公正な社会を目指すことを目標にしていくべきではないだろうか。

<第二部 発表・報告>

第一 活動発表

  • テーマ 「てんとう虫からまなんだこと〜はじまりは、てんとうむし救助隊〜」
  • プレゼンテーター 坂戸あずま幼稚園園児 11 名
あずま幼稚園
あずま幼稚園
あずま幼稚園
あずま幼稚園
あずま幼稚園
あずま幼稚園

11 人の園児達が、自分たちの調べた 『てんとう虫』 について一人ひとり発表。彼ら彼女らは、先生から与えられた課題について調べたわけではなく、興味のある園児達が自発的に調べ始めたことから発足したチームのようで、自分達の言葉でしっかり・堂々としていた。「園児達のかわいらしい発表を見守る」 というよりは、「てんとう虫ってそんなにたくさんの種類がいて、それぞれそんな違いを持っているのか!」 と園児達から教わる参加者も多かったのではないだろうか。子どもたちへの御礼の紙芝居上映は不具合があり途中断念せざるを得なかったが、山科理事長より子どもたち全員にツキノワグマの絵本 「ルナとこぐまたち」 をプレゼントとして手渡すことができた。 (大きな拍手が鳴り止まなかった。)

第二 活動報告

  • テーマ 「環(わ)」
  • プロモーター
    佐々木 宣彦 運営評価委員 (財団法人 発電設備技術検査協会)
  • プレゼンテーター
    松崎 哲哉 エコツーリズムユニット副ユニット長 (株式会社 ナショナルランド)
    福崎 伸悟 企業環境研修プログラム副リーダー (株式会社 クラブファーム)
    真保 まゆみ 企業環境研修プログラム副リーダー (株式会社 ベネフィット・ワン)
    塙 ともみ ニューズレター編集委員長 (常磐大学学生)
    土岐 和多瑠 RDBデジタルアーカイブス副リーダー (東京大学大学院生)
    金子 嘉宏 湿生植物学習センター長 (株式会社 おもちゃ王国)
    仁藤 雅夫 副理事長 (株式会社 スカイパーフェクト・コミュニケーションズ)

松崎

松崎様
松崎様

2007 年 7 月と 2007 年から 2008 年にかけての年末年始にエコカフェと協力し、小笠原諸島を舞台とした 2 つのエコツアーを実施した。

1 つ目は夏に実施したもので、ナイトツアーやハートロックへのトレッキング、海洋センターでの学習会などを実施。どのイベントも反響は大きかったが、以下の 5 点を今後のツアープランニングに役立てたい。

  • ウミガメをツアーの基本とし、そのウミガメを中心に様々な話を展開するなど、何かに特化したツアー作りを試みたい。
  • 船内での事前学習があるかないかで、島に上陸してからの反響や理解度が違っていたので、この事前学習は大切にしていきたい。
  • また、帰りの船内ではツアー中に感じたことや学んだことを共有、共感する時間を設けたい。
  • ツアー終了後も、そのツアー中に育んだ 「環」 を大切にしたい。
  • アンケートによる、参加者の意見も十分に反映していきたい。

2 つ目は年末年始に行なわれたもので、エコカフェ運営評価委員長山崎氏による船内講演の反響が良かった。行きの船内では 『世界遺産登録に向けての小笠原の現状と課題』、帰りの船内では 『地球温暖化と生態系の変化』 についての講演があり、どちらも 100 人前後の参加者があり、また質疑応答も活発になされ、環境問題に対する関心の高さが伺えた。また、ツアーのアンケートから 『参加者の約 3 割が温暖化に興味を持ち』 『参加者の約半数が外来種についての理解がなく、中でも特に山羊や植物についての認識が薄い』 ことが判明。この年末年始のツアーから学んだことは以下の5点。

  • 一般観光客が小笠原の自然や生態系に対する加害者にならないよう、プランナーとして情報を発信していかなければならない。
  • "楽" と "学" のバランスをうまく取りたい。
  • 遊びながらエコに対する知識を自然と芽生えさせられるようなプログラムを考えたい。
  • 観光客の質が上がることによって、現地ガイドの質も更に向上するのではないだろうか。その相乗効果を狙っていきたい。
  • Sightseeing とは、単に 『観光』 を意味するのではなく、広義に捉えれば 『環境』 と 『体験』 を含んだ言葉なのではないだろうか。

福崎

福崎様
福崎様

2007 年 11 月にエコカフェと協力し、群馬県高崎市倉渕町においてネイチャーセラピー (自然療法) プログラムを企業環境研修プログラムの実証として行なった。
これは、農業体験・森林浴・自然、田舎体験を通して心身の健康の回復、改善を目的とした予防医療の一環である。このネイチャーセラピーは、海外 (特に EU 圏) でも積極的に取り入れられ、国によっては社会健康保険が適用されるほどで、企業を始めとした社会全体のメンタルヘルスに対する有効な施行として期待されている。

今後、当プログラムを更に発展させていくためには以下の5点を充実させる必要があると考える。

  • 専門家や医療機関との連携。
  • 地域の農林業関連団体との連携。
  • 保養地、実施地の巡定を整備。
  • 企業のニーズにあったプログラムの開発。
  • 運用ノウハウの蓄積。

真保

真保様
真保様

企業の CSR による環境保護活動に注目が集まる中、その他にもこれからは企業の従業員に対する心身効果を含めたメンタルケアなどの要素を取り入れた環境分野の研修プログラムの開発が必要だと感じている。そしてそのために、専門の有識者やペンションのオーナーの方々と連携して、自然のフィールドを活用した体験又は、心理プログラム等の実施方法・評価方法を開発し、『企業価値』・『従業員満足度』・『お客様満足度』 の 3 点をそれぞれ向上させていくことを目的とした環境研修プログラムをエコカフェと連携しながら作り上げようと考えている。

その実証として 2007 年 11 月に山梨県清里高原にて、自然体験健康プログラムを行なった。ここでは、早朝の森林ノルディックウォークとその前後の健康測定を行なうことで、森林療法の効果を体感。人によっては血液年齢が4歳も若返るなどの効果が見られた。

今後、当プログラムを更に発展させていくためには以下の 2 点を充実させる必要があると考える。

  • イベントの周知や宣伝など、募集方法により一層の工夫が必要。
  • 家族向けのプランも需要が高いので、積極的に取り入れていきたい。

塙様
塙様

私たちは、メンバーのほとんどが学生というチームで、エコカフェの活動が少しでも多くの方に伝わるよう、機関誌 (ニューズレター) を作成しています。この機関誌では、エコカフェに関わる人たちのところへインタビューに行き、その人の人柄やエコ・エコカフェに対する思い、また、エコカフェの活動報告や地方分室の紹介などをしています。将来的には、エコカフェの活動や、エコカフェに関わる人々を紹介することで、自分の生活を振り返ってもらえるようなニューズレターにしていきたいと考えています。

最後に一つお知らせがあります。ただ今メンバーを募集しています。詳しくはお手元のニューズレターをご覧下さい。

土岐

土岐様
土岐様

このプロジェクトは、レッドデータブックに+αの情報を付け、地域の自然環境をより良く理解できるようにしようという試みです。そしてそのためには、身近な自然やそこに生活している動植物の特徴を知る必要があります。更に、この動植物の分布には 『地形・地質・気候』 などが密接に関係しています。そこで現在の方針としては、各都道府県の地形・気候とそれら地形・気候と動植物との関係性をまとめ、web 上で公開しようと考えています。早ければ半年後には HP を作成、その後順次情報の更新を予定しております。またその後も様々な工夫を凝らし、小中学生の学習用から社会人の方々でも興味を持って見ていただけるようなコンテンツを作っていきたいと思っています。

こちらも、ニューズレターと同じメンバーで作業を進めておりますので、人手が足りません。一緒に頑張ってくれる方募集中です。

金子

金子様
金子様

湿生植物学習センターとは、おもちゃ王国という小さな子ども達を対象とした遊園地の一部に作った人工湿地のことである。ここには希少な動植物が生息しており、昨年一年間費やした調査によって 「湿地特有の植物が 53 種類」 「昆虫が 28 種類」 「トンボが 15 種類」 の存在が確認された。

この施設は今後、子ども達にももっと親しんでもらえるよう 『ハッチョウトンボの里』 と改名し、湿地の動植物を楽しみながら学習する場所としていきたいと考えている。そのために以下の3点を大切にしていきたい。

  • 岡山理科大との連携も、学生の学習フィールドとして解放しつつ、調査していただくなど、これまで以上にうまくしていきたい。
  • センター内の動植物を守るためにも、今後は植物の開花・昆虫の生息に合わせたツアー形式とする。
  • 小学校の授業などでも使ってもらえるような開放の仕方も考えていきたい。

仁藤

仁藤様
仁藤様

ワシントン条約に引っかかる動物が国内に持ち込まれ (密輸)、警察に押収された場合、当局に代わって保護・飼育する施設が絶滅危惧種保護センターである。ここでは、整った環境で個々に合わせた保護・飼育が日夜行なわれている。マダガスカルホシガメやサイイグアナ、オジロクロオウムなど、本当に希少な動物が飼育されている。

今後、以下のような取組みを進めていきたい。

  • 保護飼育している種についての生息地に関する調査研究
  • 保護飼育関連の法制度の周知徹底のあり方に関する方法の調査研究
  • 子ども達に対する教育プログラムの開発などに取組むようにしたい。

佐々木

佐々木様
佐々木様

今回のテーマ 『環』 の意味が分かってきたような気がします。それぞれどの活動も創意工夫を重ね、立派に活動を継続されているが、この活動をより良くして頂くことが、また次の活動に繋がっていく、色んな 『環』 を広げていく。そういう意味なのかなと、感じました。

<コメント>

今回のシンポジウムは前回までとは見せ方を変え、パネルディスカッションによる対話ではなく、それぞれのプロジェクト代表者による活動報告という形をとりました。直前までは、幼稚園児のかわいらしい発表に評価が集中するかと思われましたが、蓋を開けてみれば、幼稚園児の発表もかわいらしいだけでなくしっかりとしたもので、その他のプロジェクト代表者もそれぞれの活動をわかりやすく説明されていたため、アンケート結果に見る評価も全体的に高く、良いシンポジウム、また良い活動報告の場となったのではないかと考えます。多くの参加者に見守られ、より一層頑張らねばと再認識させられた一日でもありました。

(報告責任者:山田 聡)

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