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エコロジーカフェ >> エッセイ >> 冬の低山の魅力〜高尾山稜を歩く〜

冬の低山の魅力〜高尾山稜を歩く〜

寄稿エッセイ:2006年1月11日
澤 尚幸(日本郵政公社、エコカフェ正会員・特派員)

「この冬一番の寒波がやってくる」と天気予報に脅された翌朝5時、まだ、外は暗い。
「日が短くなったなぁ〜」
と考えるよりも先に、
「ひゅぅ〜」
という強風の音に驚く。寒波来襲は事実ということか。
「本当にこんな日に山に登るのかなぁ〜。雲もあるみたいだし…。やっぱり寒いなぁ〜」
と心細く自問自答しつつも、完全防備をして、京王線の駅に急ぐ。毛糸のキャップにグローブという冬のいでたちがアクセントというところか。やや猫背になっている自分がいる。

駅に着くころには、快晴の青空になった。

京王線は速い。このスピード感が、キーンと冷えた透明度の高い冬の空気によく似合う。車窓には、東からの朝の光に照らされた山並みが美しい。さすがに冬の車内、閑散としている。
高尾駅で同行者のK氏が乗り込んできた。その「おはようございます」というにこやかな声で、うつらうつらしていた僕は目を覚ました。7,000m級の経験もあるという彼だが、「アルプスもいいけど、奥多摩の低山もいいですね。登山仲間はすぐ岩場へ行こうなんて言って付き合ってくれないですけど。」
ということで最近、僕のような軟弱ハイカーの強い味方になってくれているのである。

高尾山口駅に到着。まだ開店前の茶店が並ぶ参道を一歩一歩進んで行く。今回のパーティーは4 名。K氏のようなハードな登山家もいれば、最近はじめましたという初心者や、あるいは「山は好きだけど日帰りじゃないとだめなんだ」という人まで様々。こういう混成メンバーを受け入れてくれるのが低山の魅力である。
夏なら、迷わず、渓流沿いの琵琶滝コースを選ぶところだが、今日は冬の快晴。静かな稲荷山コースを進むことにする。
ケーブル駅の脇を通り、稲荷山コースというきれいな看板を目印に左に折れる。階段状のちょっとした急坂を登ると、お稲荷さんがお出迎え。修験道の山というイメージの高尾山にしては、お稲荷さんは愛嬌があるセッティングである。
尾根道はやはり眺望がいい。初夏のぶな林の生気あふれる緑、盛夏の雲に映える花畑や秋の紅葉のトレッキングは勿論よいのだが、落葉して視界を遮るもののない冬、というのは透明度が楽しめる。ゆったりとした山道が続き、霜柱のザクザクという音を少し楽しみながら、4 人の他愛のない話も尽きることがない。ストレスとは無縁の山歩き、これもまた低山の魅力と言えるだろう。

途中の東屋で、遠くの筑波山を望み、登山口から約1時間で、高尾山山頂に到着。
最後の急な階段を登ると茶店等が並ぶ山頂である。ふと左を見ると、道志の山を従えた冬の白い富士山がひときわ大きい。
澄んだ空にくっきりと輪郭が浮き上がる。騒がしくもなければ淋しくもない山頂は、年配の夫婦、ジャージに身を包んで黙々と走るアスリート、15人程度のパーティーなど、それぞれがそれぞれの時間を過ごす日溜りだ。

目指す景信山までのトレイルが続いている。
「いい空気を吸おう」
そんな気持ちになるのだ。

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